出雲そば
- 「出雲そば」の定義
- 「割子(わりご)」と「釜揚げ」
- 「出雲」「松江」「奥出雲」地域の違い
「出雲そば」の定義
出雲そば(いずもそば)は三大蕎麦の一つで、出雲地方で広く食べられる郷土料理の蕎麦ですが、どんな蕎麦なのでしょうか。
製法の特徴として
①そば粉を作るとき蕎麦の実を皮ごと石臼で挽くため、蕎麦の色は濃く黒く見え、香りが強くなる。
②十割が基本だが、つなぎの小麦粉は使っても1割以下である
(コシはあまり強くない、のどごしも良いとは言えない)
③「一本棒」「丸延し」「手ごま」である
(江戸流は、3本の麺棒で、四角く延ばし、こま板を使って切る)
上記の3項目が古くからの製法の特徴となると思います。本当は地元の蕎麦を使ったものこそ本物と言いたいのですが、難しいところです。
「割子(わりご)」と「釜揚げ」
出雲そばとは「割子そば」であると思っている人は多いでしょう。
確かに、地元でも「割子そば」は多くの人に食べられています。
ですが、「割子そば」は会席料理の内の一品にすぎないというイメージです。(茶碗蒸しのような存在?)
あと、出前でもよく注文します。大きさ、形が便利なんですよね。
もともと「割子」は弁当のように外で食べるために作られたものらしいです。
蕎麦好きならやはり「釜揚げ」です。
「釜揚げ蕎麦」とは茹でた麺とそば湯をそのまま丼に入れ、それに薬味と好みの量のそば汁をかけ、そば湯と麺を一緒に味わうものです。
栄養面では最良の食べ方と言われていますが、そば粉の良し悪しに左右される、作り手からみたら厳しい料理方法です。
個人的にはこの食べ方が一番好きですが、他所の人からは好みが分かれるところでしょう。
出雲そばの特徴である「コシの無さ」が際立ちます。
店によっては、そば湯が濃過ぎてカルボナーラのようになったりもします。
「出雲」「松江」「奥出雲」地域の違い
蕎麦は、寒さに強く収穫までが短い上、痩せ地でも栽培できるため奥出雲や雲南などの山地で盛んに作られました。
松江では、大名茶人・松平不昧公が大の蕎麦好きで広まっていったとか、出雲では神社の門前で振舞われていたなどの話が伝わっています。
日本中どこの地方もそうですが、天候不良などで米が出来ないと蕎麦を作って飢えをしのいだともいいます。島根も今でこそおいしいお米がたくさん栽培されていますが、昔は、蕎麦のほうが質のいいものが出来たそうです。
松江は参勤交代、出雲は神社参りなどで、江戸から人や情報が入り、蕎麦の味も江戸風に少しづつ変わっていったという話も聞きます。
なので、奥出雲のそばが一番源流に近いという人がいます。
まとめ
現在食べれる蕎麦については、なんだかんだ言っても、そば屋次第だと思います。
名前だけの「出雲そば」もあれば、昔の製法にこだわった「出雲そば」もあります。
やはり、歴史のあるそば屋はそれなりの味がしますね。
最後に蕎麦好きの方への個人的なおすすめの出雲そばの食べ方を紹介します。
「釜揚げ」と「割子二枚」を注文してください。そして、「割子」は一枚目は薬味無しで味わっていただきたい。蕎麦そのものの味がしっかり味わえると思います。
(本当は割子三枚注文し、一枚は汁もかけずに味わって欲しいところです)